《MUMEI》

「え…」




俺の脇を素通りして秀幸は寝室に行った。

こんなきつい言い方されたの初めてで、なんかショックで。


「う゛…、ア〜ン…」


なんか、恥ずかしい位子供っぽく俺は泣きだして、声もあげて泣いて泣いて。


大きい声で泣けば秀幸が飛んできて、ごめんって言いながら俺が落ちつくまで抱きしめてくれるんじゃないかって、そんな事を考えながら泣いたりもして。



でも、やっぱり秀幸は来ない。




段々泣くのに飽きて寝室に行ったら、秀幸はすでにいびきをかいて寝ていた。

俺は当然隣に滑り込む。



浮気じゃないよね?違うよね?
秀幸は俺の事だけだよね?



いつもの寝顔に心の中で問い掛ける。



何処行ってたの?
なんなの?




なんであんなきつい言い方するの?




「ンッ…、…」



胸が苦しくて、また涙が出てきちゃって、俺は秀幸の胸にしがみついた。

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