《MUMEI》 「いつまで現実から逃げる気だ?」 彼の顔が苛立ちに歪み、全身から黒い瘴気《しょうき》が渦を巻いて放たれた。 「これは……」 「思い出せ。お前がここに来る前、どこで何をやっていたのか」 この黒く禍々《まがまが》しい瘴気の渦…………、これは……『ソウル』。 オレの『ソウル』だ。 そしてヴェイガー=c…訓練のため、ジュードさん達ヴェイガー≠ノ手伝ってもらってたんだ。 そこでオレは―― 「思い出せたか? 俺《おれ》はお前を通して見ていた。物心ついた時からずっとな」 「どういう意味だよ」 ここは夢の中か? 休憩をもらって、そのまま寝てしまったらしいな。 「全部知ってるってことだ。例えば中学生の時、あの頃は酷《ひど》かったな。みんなして『俺達』と弟を比べるんだから」 夢の中とはいえ、過去のことを語られるのは気分が悪い。 ましてや自分と同じ姿の奴なんかに……! 「やめろ」 前へ |次へ |
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