《MUMEI》

いつも通り寝起きは最悪だった。
眠りが浅いせいなのだろうか、私はよく夢を見る。

そして暫く続く倦怠感。


私は起きてから少し時間が立たないと動けない体なのだ。

佳代には低血圧だからと説明している。
少しも疑う事なく信じてくれた。

………これは誰にも言う必要がないこと。秘密にしておけばいい。


佳代は私と違ってキビキビ動いていた。

私は何とか準備をして学校に向かうことにする。

高校の寮のくせに20分も歩いて行かなければならない。

いつもは一人で歩くのだけど、今日からは靖子と佳代が一緒だ。

佳代と靖子は朝から賑やかだった。
私はまだ頭が働かないでいたので、話しに相槌を打ったり、クスクスと笑ったりすることぐらいしか出来なかった。

でも今までで1番楽しい登校には代わりない。
いつもと違う角で曲がったりするのも、新鮮で楽しかった。


私達はもう学校の下駄箱まで来ていた。
ここから先はクラスによって進む方向が違う。

佳代と靖子にバイバイって手を振って別れた。


なんだか世界が変わったみたいだ。
昨日まで他人を避けていたのに。


−−−私はこれから、楽しい毎日になるような気がしていた。

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