《MUMEI》
捻挫
「見事な、落ちっぷりだった!」

と翼は親指を立てたが、左足を捻挫してしまって、今日の体育は見学だ。

今日の体育は球技で、みんなあちこちに散り

ドッヂボールやらサッカーやらをしている。

すごく楽しそうだが、みているだけのこっちは退屈だ。

包帯を巻かれた自分の足首を見て、ちぇ……、と唇をとがらせた時


「大丈夫?」

耳ざわりのいい低い声をかけられて、芹奈は目を丸くした。

いつの間に来たのか、少し離れたところに侑が立っていた。

丸めた大きな地図みたいな物を小脇に抱えた侑は

芹奈の隣にならぶと、クールな横顔で一言


「階段から、なだれ落ちたんでしょ」

み、見られてたのかっ!はずかし〜!

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