《MUMEI》

「なあ、もしかして鑑別所入ってるって言ってた例の?」


「うん…」


「あの携帯で金髪で一緒に写ってたあの人?」


「…、……」


そういえばだいぶ前に勢いで画像見せちゃったんだっけ…。あれから何も言われてなかったからすっかり忘れてた。



つか、あれは普通にかっこいいヘアスタイルだったし、顔もいつも以上に良く写ってる自慢の写メだったから勢いで自慢げに見せられたんだ。


ちなみにあの写メに写ってた単車はオカンの所有物で、本当の俺達は通学専用チャリンコで何処に行くにも移動していた。

そうだ。あれは見たくれだけ。
たんに夏休み中を利用して一時的に金髪にしてた時のやつだし、普段はメンチなんか切らない無表情の顔をしていた。


あいつも同様で、学校に行く時はチャリンコにヘルメットは必ず着用する奴だった…。



「貢もダチも金髪の時の方がかっこいーかな、ねー金髪の写真なかなかないね」

「…」


ないもん。だからないもん。



「金髪のときのカッコイイ服の写真ないなー、なんか変てこな服ばっかり…」



だってうちのオカン、チンピラ風の変てこな服しか買ってくれなかったんだもん…。
写メん時の服、小遣いで無理して買った大切な服なのに、軟派な服は捨てといたなんて言われて一回しか着させてもらえなかったんだ。




だから俺は昔からオカンに…オカンに…


「もうすぐ来るで!」

「なっ!もうすぐっ??」

ニコニコ顔で再び現れたオカン。



「ちょうどこっちに向かってたとこだったわ、貢、帰省するの教えとったん忘れてたわ」

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