《MUMEI》
4.天津神三強神
不時着と同時にヴィマーナのコントロールパネルが火花と細い黒煙を上げ、機内で
ゴウン・・・ゴウン・・・と鳴り響いていた振動が消えると、水晶エンジンの回転運動が完全に
停止した。
「この舟はもう死んだ。脱出するぞ、朱雀!」
二人はシートから立ち上がると、壁のラックに掛けられた筒状の武器
「インドラの火矢」を取り上げ、すばやく右腕に装着する。筒から伸びる細いコードを金属衣の
心臓の辺りにある挿入口に差し込む頃には、機体に大きく開いた裂け目から外へ飛び出していた。
地上には神や人の夥しい死体があちらこちらで山となっている。
振り返ると機体に大きく穴の開いたヴィマーナが地上に減り込んで屹立していた。
この状態で今までよく飛行していたものだ。
再び前を向き走りだそうとする白虎の腕を、
「白虎!あれを!」
朱雀が引き止め、右前方を指差した。
巨大な神の死体の上で黒い気体が渦を巻き、凝集しつつあった。
やがてそれは、黒い鎧をがっちりした長身にまとった男の姿に結実する。

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