《MUMEI》 道草「だっ、大丈夫!侑くんはなんでここに?」 「先生のパシリ。俺、日直だから」 と言って侑は、今いる位置からそう離れていない 校舎の一角を指さした。 先生に今かかえている地図を取りにこさせられたらしい。 侑はそれからも黙ってグラウンドの風景を眺めていた。 「それ、授業で使うならみんな待ってるんじゃないの?」 「いいんだよ、少しぐらいの道草。パシリの特権。 どうせ待ってるのなんか先生だけだし」 「アハハッ、そうかもね」 自分の声が弾むのがわかる。 侑が思ったよりも喋るので新鮮だったし それにさっきから退屈で、少しさびしかったのだ。 前へ |次へ |
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