《MUMEI》

「お母さん、見てーっ!」私は、学校で作った勾玉をお母さんに見せた。

「上手に出来たのね〜、凄い!」とお母さんは褒めてくれた。

そこに、お父さんがやって来た。
見ないで…、見ないで…。
またどうせ文句言うんでしょ?

「何作ったんだ?」

「勾玉。」

「見せて。」

「ハイ。」


……
………無言が続いた。

「何だこれ。角ばっかりだな。勾玉じゃないよ、これ。もっと丸くしたら?傷も沢山あるし。」

「悪かったね。」私はお父さんの手から、勾玉を取り返した。

何よ、何よ、何よ、何よ。
そう言うお父さんは出来ないくせに。
偉そうに言わないで。
じゃあ、お父さんが綺麗に仕上げて見せてよ、私のに文句言う前に。

お父さんは部屋から去っていった。

「放っておきなさい。気にしなくて良いわよ。上手に出来てるから、ね?」とお母さんは私に微笑んだ。

「うん…。」

お母さんといると、凄く落ち着く。
心から安心できる。
お母さんになら、何でも話せる。

でも、悔しかった。
お父さんに言われる何もかもが。
何でお父さんに言い返せないんだろ。

自分を責めることしか、出来なかった。

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