《MUMEI》

白虎が「ぐぐっ・・・・」と呻き、呆然として
朱雀が戦士から女へと崩れていく光景を見つめている。
アスラが股間をさすりながらハアハア息を荒げ、
「カーリー姉ちゃん。頼むから殺す前に、その
美味(うま)そうな女と、一発やらせてくれよ!」
「しょーがないわね。この『年がら年中発情坊や』は・・・・。いいけど私がたっぷり楽しんだ後でね」
「ラッキー!」
カーリーが抵抗の意志をすっかり喪失した朱雀の双乳を下から掬い上げるように持ち上げると、
根本からきつく絞り上げる。
「あ・・・いや・・・」
その声には相手に感覚を操られるがままになった、女の弱さが滲み出していた。
天狗丸も気が付くと、息をハァハァ荒げて淫靡な光景を眺めていた。
そんな時の天狗丸の顔は普段のひょうきんな少年顔はどこへやら、下劣なニヤニヤ笑いを浮かべて、唇の端に牙を覗かせ
すっかり妖怪顔に変貌している。
ダキニがその顔を見て、
ぱちーん!とひっぱたいた。
「なん・・・・!」



「アトランティス人の
勇者よ・・・・」
今まで唇の端に皮肉な笑みを刻み、成り行きを眺めていた、漆黒の目を持つ天津神三強神のひとり羅刹が、ここでいきなり沈鬱な口調で語りだした。
「お前に生き延びるチャンスを与えてやろう。
私と手合わせしろ。お前はどんな汚い手を使ってもかまわん。私の体のどこかに傷ひとつでも付ければ、その時点でお前の勝利だ。ふたりとも見逃してやる。そして私が使えるのは、この剣を持つ片手のみ。この誓いを破った時点で私の負けを認めよう・・・・。
どうだ?この申し出を受けるか?」
「やれやれ!また羅刹兄貴の道楽が始まったよ。て事はだよ、その人間が勝っちゃったら、俺は
そこの女と一発ヤレなくなっちゃうわけ?」
アスラがため息をつくと、漆黒の目の剣士は、
「むろんだ」と、にべも無い。
「その勝負、受けよう!」白虎が言うと、いかなる原理か、右腕のインドラの火矢が筒状の形から展開して、黄金の輝きを放つ剣に変化していく。
「ただしそちらが剣である以上、俺も剣で勝負する!!」
羅刹の白い顔に皮肉な笑みが、さらに大きく広がった。
「人間よ。お前の名前を聞いておこう・・・・」
「白虎!!」
次の瞬間、
ウリャーー!!!
両手に握った剣を振り上げ、電光石火の勢いで
羅刹に向かって飛びかかっていく!

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫