《MUMEI》
直哉を失う事は同時に友人を失う事でも有る。
正直、友人である直哉を失いたくなくて俺は恋人として好きな振りをしているだけなのかも知れない…。
でも最近、この関係が辛くなってきた。
直哉は俺と自由にセックス出来る様にアパートを借り始めたらしい。
そしてその為に毎日無理して深夜までバイトしている。
本当は一緒に暮らそうって言われたけど、親がまだ未成年だから今はまだ駄目だって言ったと…嘘をついた…。
――正直重かった。
偽りの気持ちのまま、俺自身のずるい感情の理由で恋人を演じている自分には、そこまでする直哉に対して後ろめたく、同時に負担にしか取れなくなってきている。
――仕事で色々な人に出会って、
色んな事経験して、
乗り越えて…
「裕斗…、中に入って」
隆志のマンション…。
前に一度来た時は他にも何人か居たっけ…。
ふと見上げると、…
真剣な隆志の表情と
ぶつかった…。
「俺がこの中に入ったら…、隆志は俺の事抱く気なの?」
すると今まで俺の肩にあった隆志の手がするりと離れた。
「正直言うと抱きたい… でも、裕斗の気持ち…大切にしたいから、望まれないならしないよ」
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