《MUMEI》

触れているのは彼の手とアタシの顎だけ

それなのに

彼の黒い切れ長の目は

アタシの心臓を掴んでいるよう

何故だろう

アタシは微動だに出来なかった

「突然失礼しました」

時間にしたら、数秒

けれど、アタシにはその数秒がひどく長い時間のように感じられた

彼は手を話すと、アタシの横をすり抜けていった

立ち尽くすアタシの手元には妖艶な笑みを浮かべる彼がくれたアタシの写真

そこに映し出されているのは笑っているのに、笑っていない

哀しい瞳をしたアタシ

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫