《MUMEI》
マニキュア
お昼休みに、愛李にマニキュアをぬってもらった。

愛李はふわっとした髪も、きめこまかな肌も手入れが行き届いていて

爪だって、いつも綺麗な色にぬってある。

「あいちゃん、爪きれーい……」

と見とれる芹奈に「ありがと」と微笑んで言ってくれたのだ。


「せりもぬれば?せりに似合いそうな色もあるよ」

愛李がポーチから取り出したのは

桜貝みたいなピンク色のマニキュアだった。

小さな刷毛で芹奈の爪をひとつひとつ丁寧にぬってくれる。

そして「よしっ、できた」と愛李が言ったあと

芹奈は自分の十個の爪を見つめて、笑みをこぼした。

「わぁ、ありがと〜。ピカピカだー」


これまでもマニキュアをぬったことはあるにあったけど

自分ではうまくぬれないし、そもそもネイルとか化粧なんかの

オシャレにはあまり興味がなかった。


蛍光灯の光を受けてまるい艶の輪を浮かべる自分の爪を見ていると

うれしくなる。なんかこう、たったこれだけで

自分がすごく「女の子」になった気分だ。

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