《MUMEI》 「おじゃまします。」 そう言って入った私に真っ先に返事してくれたのは悠莉さんだった。 最初は大人っぽくて前みたいな・・・ ―10年前― 私と悠斗がいつものように公園で遊んでいると 近くに住んでいる10歳くらいの男の子3人組が私達に「そこ、俺らがいつも遊んでいる場所。どけー。」 と無理やり突き飛ばされた。 10歳だった悠莉さんは偶然通りかかって躊躇せずにその3人組に 「何しよると。この子らが先にいたんじゃろー。」悠莉さんは悠斗が生まれるまで四国に住んでて少し方言が入ってた。 「ご、ごめんなさい」 その時の悠莉さんの背中は大きくて強かった。 今は勇ましさより華やかさを感じる。正反対で・・・。 「理香ちゃーん。」キレイな顔で私に言う。 「悠莉さん。」 「可愛くなったねー。こんな可愛かったら彼氏いるでしょ。」 「・・・はい。」 「マジかーーーー。おめでと。相手は?」 「和輝です。」 「和くんかー。理香ちゃんを絶対幸せにしてくれるね、和くんなら。」 「そうだと信じてます。」 「そだ、悠莉さん、プレゼント。」 私はブランド物のパーカーをプレゼントした。 「可愛いー。ありがと。」そう言って私に抱きついた。 おばさんのケーキ本当に美味しかった。 私は悠斗に送ってもらうことになった。 「リィ」 「何?」 「リィに大切な人がいてもあの約束は守れよ。」 ―あの約束・・・− 8年前の2月29日。お互いの誕生日。朝からもうすぐ春というのに雪が降っていた。 「悠斗、これプレゼント。」私はキーホルダーをあげた。 そして私はアクセサリーをもらった。8歳にしてはずいぶんませてるものだった。悠莉さんがえらんだからだ。 「リィ、8年後の今日。日付が29日になった瞬間またここで待ってる。4年後は帰れそうにないから・・・。」 「分かった。」 「約束な。」 「うん。」 ―約束・・・− その言葉を聞いて全て鮮明に思い出した。 「分かった・・・。」 「ずっと待ってる。」 お互い大事な人がいる。なのにどうして・・・。 その変な優しさが辛い。もっと早ければ今あなたの隣にいるのは私だったのかも・・・。 前へ |次へ |
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