《MUMEI》

「白虎、生真面目すぎるだろ・・・・。まともに剣で戦って羅刹に勝とうなんて・・・・」
天狗丸の心配もよそに
白虎が凄まじい気迫で斬りかかっていくのを、
微動だにせず羅刹の剣が回転するような軌跡(きせき)を描き、上方へ
弾き上げた。
だが白虎もまた、弾かれた反動を遠心力に変えて、すぐに斜め下から鋭く斬り上げる。
羅刹は今度は受け太刀せず、紙一重で上体を反らし切っ先を避(よ)ける。その顔には相変わらず、皮肉な笑みを浮かべたまま。
「でやぁーーっ!!」
その漆黒の瞳を持つ顔を、白虎の剣先がまっすぐ伸びて貫(つらぬ)いた・・・・!
と見えた瞬間、
残像を残して長い髪が
上方へ流れ、体を沈めた羅刹の剣が横ざまに白虎の居る空間を薙(な)いできた。
間一髪、後方へ飛びのき 、旋風のような切っ先を
避ける白虎。
金属衣の胸の辺りがゆっくり裂けていき、逞しい筋肉に鎧(よろ)われた
裸の胸が露出すると、肉がピンクの切り口を見せて、同じように裂けていき、血をしたたらせた。
傷口の深さはそれ程でも無いが、後一二秒避けるのが遅ければ、肉体そのものが両断されていただろう。
「白虎!」朱雀が叫び飛び出そうとするのを、
「静かにおしっ!」
カーリーが自分の元に引きよせて、ぺろりと首筋を舐め上げる。その手は相変わらず朱雀の性感を刺激するように動いている。

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