《MUMEI》

「――やめろっつってんだろーが!」


声を荒げ叫んだところでこの男に効果はないらしく、涼しい顔でこちらを見返してくる。

「で、今回はどうした? せっかく『ソウル』の基本を早々《はやばや》と身に付けて、キャルやジュードさんから期待されていたのに、あのちっちゃい子……キアンちゃん、だったか。その子相手にまるで通用してないからな。
『俺達』に期待していた二人は今頃失望してるだろう。弟が持ってないモノを手に入れたと思ってたのに、結局はコレだ」

……認めざるを得ない。コイツの言ってることは核心を突いている。

「仕方ねぇだろ。相手はヴェイガー=c…戦闘や『ソウル』を使う術《すべ》に長けてる連中なんだ。元々の才能が違いすぎるんだよ!」

「大した努力もせず、才能を言い訳に逃げ回る今のお前に先は無い」

「なに……っ!」

恐ろしいほど冷徹《れいてつ》な目を向けられ、思わず息を呑《の》んでしまう。

「このまま『奴等』と戦ってお前と心中するつもりは毛頭ないんだ。だから俺《おれ》が力を貸してやる」

「どういう意味だ……?」

「お前の身体を俺に貸せばいい。それで全《すべ》てうまくいく」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫