《MUMEI》 「――やめろっつってんだろーが!」 声を荒げ叫んだところでこの男に効果はないらしく、涼しい顔でこちらを見返してくる。 「で、今回はどうした? せっかく『ソウル』の基本を早々《はやばや》と身に付けて、キャルやジュードさんから期待されていたのに、あのちっちゃい子……キアンちゃん、だったか。その子相手にまるで通用してないからな。 『俺達』に期待していた二人は今頃失望してるだろう。弟が持ってないモノを手に入れたと思ってたのに、結局はコレだ」 ……認めざるを得ない。コイツの言ってることは核心を突いている。 「仕方ねぇだろ。相手はヴェイガー=c…戦闘や『ソウル』を使う術《すべ》に長けてる連中なんだ。元々の才能が違いすぎるんだよ!」 「大した努力もせず、才能を言い訳に逃げ回る今のお前に先は無い」 「なに……っ!」 恐ろしいほど冷徹《れいてつ》な目を向けられ、思わず息を呑《の》んでしまう。 「このまま『奴等』と戦ってお前と心中するつもりは毛頭ないんだ。だから俺《おれ》が力を貸してやる」 「どういう意味だ……?」 「お前の身体を俺に貸せばいい。それで全《すべ》てうまくいく」 前へ |次へ |
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