《MUMEI》

ホームルームが終わると、アタシは担任に職員室へと呼び出された

きっと、白紙で出した進路希望のことだろうなーと、アタシはうなだれながらも職員室へと向かった

担任に声をかけると、アタシは一通の手紙を差し出された

「お前が大塚夏人と知り合いだったとはな」

何故か担任は悲しげな表情を浮かべ、俯いて言った

宛名はアタシの名前

差出人は大塚夏人

大塚って誰よ、、、

そんな事を思いながら封筒を開けて、手紙を読んだ

弱々しい字で綴られたアタシへの手紙

手紙を読み終えるとアタシの頬を一筋の涙が伝った


「白血病、、、だったそうだ」


顔を上げると、担任の瞳にも涙が溜まっていた


僕はラッキーだよ

そういって笑った少年の笑顔がアタシの中でガラガラと音を立てて崩れた


「アタシ、、、アタシ、、、」

アタシ、ナツの前で絶対にしてはいけないことをしたんだ

望んでも明日が手に入らないナツの前で、自ら明日を放棄しようとした

なのに、それなのに、

たった少し会話しただけのアタシに、どうしてナツはこんな優しい手紙が書けるのだろう

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