《MUMEI》 後は転がり落ちるだけだった オジサンは地主で、持っているマンションの一室をアタシに与えてくれた 毎晩アタシの部屋に来て、アタシの肌に触れて、キレイだ≠ニ言ってアタシを抱いたり、一緒に寝たりという生活を繰り返していた アタシはキレイと言われる事への嫌悪感をさらに募らせていった けれど、自分の容姿に頼って 衣食住を手に入れているのも事実だった 結局アタシ一人では何も出来ない そんな生活が一ヶ月経った オジサンが部屋を出て行った朝 アタシは家を出てから初めて涙を流した ねぇ、ナツ、、、 生きていると辛いことばっかりだよ アタシ、お母さんやナツがいる所に行きたいよ せっかく助けてもらった命だけど アタシは生きているけど、生きてない 自分の居場所が見つけられないよ 一度流してしまった涙は堰を切ったように溢れ出し アタシはわんわんと子供のように泣いた 泣き過ぎて 涙も枯れ果てて クラクラとした頭で ここを出て行かなきゃと思った 前へ |次へ |
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