《MUMEI》 駅みんな、その時の気持ちを思い出すみたいに盛り上がっているけど 芹奈はもっと、とまどった。 く、苦しい……?苦しいのに、それが嫌じゃない? そんな気持ち、なったことがない。 胸がキューっとなったことも、意味もなく泣きたくなったことも。 恋してるはずの大翔といる時でさえ。 悶々と考えているうちに放課後になって、芹奈は駅に向かった。 捻挫した左足が痛んで、いつもより歩くのが遅いし 歩き方もひょこひょこしてしまう。 それでも苦労しながら何とか駅にたどり着くと もうホームには電車が停まっていた。 《まもなくドア閉まりまぁす》 わ――――――ッ! 乗り遅れたくない一心でダッシュして、これがいけなかった。 何とかぎりぎり駆け込み乗車には成功したが 左足首の痛みはズキズキと頭に響くくらいに悪化していた。 前へ |次へ |
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