《MUMEI》 「つまり目的は、人類の進化のためだと?」 白虎の質問に青龍の顔に陰りが現れた。 「白虎よ!これだけは覚えておくが良い! 強大な力と言うものは常に両刃の剣だと言う事を!」 地平線の彼方から夜明けを告げる一筋の光が差し込み、二人の男を照らした。 「そして見よ!」 叫んだ青龍が突然空へダイブした。 「お師匠様ーー!!」 白虎の驚きを尻目に、小柄な塊は破れ衣をばたばたなびかせながら、地上へ落ちてゆく。 「これはサハスラーラ・チャクラの扉がわずかに開いた事により、吹き込んできたすき間風のようなものじゃ!!」 青龍が鞘から刀を抜くと、刀身からブーメランのような光が彼方の岩山へ向かって走るのが見えた。 シュババーーーッ!! 「裂山剣ーー!!」 光の走った通り道に沿って、巨大な岩山が『ずれ』崩壊していく。 凄まじい地滑りの音と、 白虎の「おおーっ!!」と言う驚きの叫びが重なった。 破れ衣をなびかせた塊は一瞬地上へ激突するかに見えたが、そのまま地上すれすれに滑空すると、再び上昇し朝の太陽の光の中に溶けこんでいく。 白虎が生きている青龍の姿を見たのは、それが最後となった。 その青龍の最後は押し寄せる神の軍団に単身斬(き)り込み、多数の神を屠(ほふ)りながらの壮絶な斬り死にだったと言う・・・・。 前へ |次へ |
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