《MUMEI》

身体を貸す?

貸してどうなるんだよ……代わりに戦ってくれるってのか?

オマエはオレなんだろ?

だったら代わったところで結果は同じ……うまくいくワケがない。

「お断りだね。大体どうやって貸すってんだよ。何の説明も無しに」

「ただ、強く念じればいい……『変わりたい』と。心の底からな」

彼は背中を見せると再び歩き出した。

「あ……、おい! どこ行くんだよ!」

話は終わってないぞと手を伸ばしかけた瞬間、激しい揺れとともに視界がぐにゃりと歪み、身体に痛みとだるさが襲ってきた。



「……ータ」


「ケータッ!」


「――あ……」

気が付けば、キャルが強くオレの肩を揺らしている。

「さっきから呼んでるのに返事もしないで……どうしたの? 殴られすぎて体調悪くなったとか……」

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