《MUMEI》
殺される!殺される!
五人を見る通行人の目も、かなりの不信感を抱き始めており、数人の野次馬が五人を囲み始めていた。
「おい井上!しっかりしろよ!!」
いよいよそこに居辛くなった洋平は、井上の体を揺さぶりながら、何とか正気に戻そうとする。
「殺される!殺される!」
しかし未だ呟くだけの井上。
このままでは、いつになってもらちが開かない‥
そう思い、無理にでも井上を担いで人目に着かない所に行こうとした時だった。
「殺される!殺され…」
井上の動きがピタリと止まったのだ。
それが余りに急だったため、今度は何をするのだろうかと、辺りに不穏な空気が漂いだす。
井上はゆっくり顔を上げると、まるで何かに取り憑かれた様な血走った目を見開いた。
「お…お前っ、俺は殺さないって約束したじゃないかっ!!」
それはどうやら今、井上の目の前にいる人物に向けられている様で
「優…香?」
そこにいたのは、嫌悪感からか顔を歪ませた優香が立っていた。
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