《MUMEI》 5どんなに明るく振舞っても、成果が出さなければ、彼等を解放しなければ意味がないと言うのに…。 「…泣き言を言っている暇はないな」 目を擦り、メガネの代わりにレンズを装着した。 「他の所に比べて、僕のとこなんて楽なもんだ」 舞台に向かって歩き出す。 そこには―演劇が繰り広げられていた。 榊は何も言わず中央の席に座り、演劇を見続けた。 若い学生達が演劇の衣装に身を包み、一生懸命に演じている。 そしてしばらくして、劇は終わった。 役者全員が舞台に並び、榊に向かって頭を下げる。 榊は笑顔で拍手をした。 ―今年も来てくれたんですね― 前へ |次へ |
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