《MUMEI》 おばさんの誤解自分でも顔が真っ赤になるのがわかった。 頭の中がぐるぐるしてとにかく恥ずかしくて 「す、すいません」 慌てて腰を浮かした瞬間、左足にズキッと痛みが走った。 動くのももう辛い。けどおばさんに席を譲らなくちゃいけない。 痛みをこらえて何とか立ち上がろうとした時だった。 誰かの手が肩にかかり 立たなくていいというように押された。 だれ……? 自分の肩におかれた手をたどって見上げた芹奈は うすく唇を開いた。 「ちょっと、あなた何ッ!?」 「足の具合どう?」 通学鞄を肩にかけた侑は おばさんを無視して芹奈を見つめる。 おばさんが「え……」と声をもらした。 前へ |次へ |
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