《MUMEI》 一面に広がる制服が冬服に代わり雪が降り積もり始めた。 ざりざりと足の裏に雪が触れる感覚だ。靴が少し濡れて気持ち悪い。 「雪凄いな。」 七生が大欠伸をしながら歩く。 学校まで歩きだからたたき起こした。 「俺がここに来たのもこんな雪が降っていた頃だ」 「太郎兄さんの後ろにいつも隠れていたよな。」 乙矢が端が落ちかけたマフラーを肩に掛けてくれた。 急に思い出した。 「俺、一番最初に会ったとき七生に殴られた」 「嘘だあ!」 七生は覚えてないようだ。 「二郎の気を引きたかったんだろ。」 「―――――え、嘘。」 「俺は覚えてない。」 「お前達鈍いからな。」 乙矢はため息をついた。 気にしてるのに鈍いって言うな。 前へ |次へ |
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