《MUMEI》 2榊は苦笑し、扉を開け、中へと入る。 木製の螺旋階段が眼に映る。 外の薄い光が、階段をわずかながらに照らし出している。 榊は階段を上り始めた。 ギシギシ… 上るたびに、木の音が鳴る。 …まるで封印を拒んでいるかのように。 そして階段を上ると、一つの鉄製の扉の前に出る。 榊は再び鍵を取り出す。今度は銀の鍵だ。 同じように鍵穴に差し込み、扉を開けた。 ビュオッ…! 生温い風が、体を包み込んだ。 「…そんなに拒絶しても、もう遅いよ。封印はもうすぐ終わる」 誰に言うまでも無く、榊は呟いた。 前へ |次へ |
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