《MUMEI》

「理事長も悪い人ではないんだけどなぁ」

創立者の血を引く理事長と、部員達の間にはどうも亀裂が入っている。

板挟みになっている榊だが、どちらも言い分も分かる。

力が及ばずイラだっている理事長と、望まぬ力を得て生まれついた部員達。

そこには深い溝が出来ても仕方が無いというもの。

榊は鐘の真下に来た。そこには床から生えたような、短い石の階段があった。

鐘の中を見上げれば、闇が口を開けているように見える。

榊は深く息を吸い、石の階段を上る。

そして鐘の内側に、首まで入った。

中の錆び臭さに、思わず榊の顔が歪む。

けれど勇気を振り絞り、プレートを鐘の内部にはめ込んだ。

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