《MUMEI》

1823 あいしている もうずっと愛している 過去じゃなく決め事や約束なのじゃなく蓄積などでもなく 留め金を厳重に注意して外し始めた時から 中にあるものが危険だったんじゃない 間違って他のものを焼いたり雪崩れたり押し潰したりする事などないようにしただけ そこにあるものは全く危険とは無縁の変わらないものがそのまんまであった 体からも心からも溢れ出すものは無限に尽きない泉となっていた ただそこにはねじ込まれてしまったものがある それはあなたが手を下したものじゃない ずっと今日までもあなたが手を加えた傷やケガや侮辱は一度もなかった それを信じてほしいのだと最初に伝えた通り だけどあなたが利用され別の人間の手が起こすことは止める事ができない それは一度人を殺めて傷つけてしまっているから この世で起きた事実は消せない 体に入れられたキズも跡もずっと消えてはくれない でもそれはあなたにも私にも関係のないこと あなたと私に何も起きてはいない あの日以来ずっと死んできたのはあなたがいないなら生きている意味は本当になかったから でもあなたには生きられるだけの可能性がまだあった だから私は自身の死を選んだ 本当に最後まで死んだまま終わることを決心した もちろんあなたにそれを押し付けることなどないように あの年送ったものはすでに死を進んでいた私の必死の力で演技したすべてだった あなたは生きられる生きていてほしい 私にはあなたをなくして生きていることは意味がなかった 今でもそう 固執や思い込みや過度の依存やそういうものとは本当にちがう あなたを消すんじゃなくあなたを一度も呼び起こす事なく私を消して殺してそんなままでも人には気づかれないようにいつもぎりぎりでそして人には触れることなく独り時も場所もない所に居続けてきた だから死を受けてあげる事は感情を持たない人型にこれまでずっと居た場所に再び返ることを選んであげれば私になら可能だった でもそうなれば再びそこへ戻ればあなたとはもう二度と会えない 会えたばかりだったからもう離れることはしたくないと解ってしまったから少しでもそのまま近くに居たかった だけど受けた傷にこの世で続けられる力は止まらなくそれでもこの地であなたといる事を選んだらこの世での死を現実にしなければ人の尊厳を失ってしまう地点まで至った 私がこの地にとどまったこと 無策だったわけじゃない あなたの手をわずらわせることは計り知れないほどの苦しみだった 私とあなたには何も起きていない だから手を加えないでと懇願していた あなたがそれをしたら無関係なはずのそれは現実の矢印となってこの身に襲いかかる 私はすべての現実から逃げたりしていない けれど起きてはならない罪は起きた それはあなたにも私にもどうもしてあげられない 体に差し込まれたキズは死ぬ時も消せない けどあなたが居れば私は無傷と同じだから あなたが傷と認めなければ私とあなたの間には何も存在しない それは今でも変わらない あなたが矢印の元を消そうとする事が想像を超えて二人の目の前にキズを持ち込んで激しく体を襲った 心を完全に失うより前に人間としての死を現実に実行せねばならない事に気付かされた

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