《MUMEI》

「キシャーーッ!!」
空中を遊泳していた羽の生えたムカデもどきが、突如反転すると、意外に素早い動きでスサノオに迫る。その頭部は水死体のように青白い、巨大な
人面だ。
スサノオは避けようともせずに、掌で人面を受けとめる。
その掌を中心にして人面に放射状にさざ波が走ると、その波が長大な胴体から尻尾にかけ速やかに走りぬけた。


ドン!!


と言う音がしてムカデもどきは爆裂していた。
ムカデもどきを破壊したのはスサノオの掌から
発っした超振動だ。
スサノオは、
「ふん・・・・」
と小ばかにしたように鼻を鳴らすと、次の瞬間には落雷のごとく全身にオレンジ色のオーラを纏(まと)いながら、地上へ急降下していく。
「いぇあああああ!!」
その喉から絶叫をほとばしらせながら、手刀を
カマキリもどきの頭頂に叩きこむ。
カマキリもどきは全身を真っ二つにされて、体内の内容物を周囲にぶちまけた。
この予期せぬ来訪者に、怪物達は一斉にそちらへ向かって動き始めた。
イモムシの胴体にたくましい人間の手足をつけた異形の者がスサノオの周りを取り囲み、口から
粘糸を吐きかける。
あっと言う間に繭(まゆ)の中に封じられるスサノオ。
だが巨人サイクロプスを身動きさせなくした拘束力も、スサノオを数十秒も封じておく事が出来ない。
繭の内部から白熱した光が漏れると、両手を広げたスサノオの周りに四散した粘糸が舞い散り、あっと言う間に蒸発していった。

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