《MUMEI》

そうしてスサノオに近ずく者は、側へ辿り着く前に次々原型もとどめぬ肉塊に変えられていく。
さすがに怪物達もここへ来て、怯(ひる)んだようにスサノオを遠巻きにして様子をうかがう。
その時、突然空中から雷撃がスサノオを撃つと、そのままシャワーのように降り注ぎ始めた。
スサノオの頭上にはいつの間にか、巨大なクラゲに似た怪物が密集して来て、地上の全てを焼きつくす電気の嵐をスサノオに向かって浴びせかけている。
跳ね返った放電が近くにいた人間の兵士を直撃すると、炎を上げて一瞬のうちに炭化した。
炭化した屍からは淡く輝く光球が漂い出ると、再びスサノオに吸収されて新たな肉となっていく。
「ぐ・・・ぬ・・・・」
絶え間無く降り続ける
雷撃の雨の中で、さすがに苦しそうに顔を歪ませ、スサノオの膝がじりじりと曲がり始めた。
スサノオがキリキリと
歯噛みする。
その両眼が赤光を放って頭上の敵を睨み上げる。

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