《MUMEI》
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先日までのこの国は平和そのものだった。

それは、偉大なる王女アリソンのお陰だと言っていい。

アリソンは「太陽の光」という意味だそうだ。

確かに、彼女は太陽の光のような人だった。

不作の年には、王宮の食べ物を平民に配り、極貧や虐待に苦しむ子供達がいる、と聞いたときは真っ先にその村に向かっていた。

ほかの貴族と違って威張ったりはせず、「子供たちが笑って暮らせる世の中を造りたい」が口癖だった。



だが、王女は死んだ。

病死だった。

医者に「もう長くはない」と言われていたが、こんなに早く逝くとは思っていなかったと誰もが悲しんだ。




偉大なる王女がいなくなったこの国を治めているのは、

わずか14歳のアリソンの娘、ファルミーアになった。

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