《MUMEI》

目の覚めたみこはじぶんの居る場所に驚いたが、直ぐに冷静になって、家出した事を思い出した。


「私…家出したんだ。やっと自由になったんだからやりたいこと探そう」


制服についたら砂を叩き、出口へと向かった。

眩しい光に思わず洞窟の中に戻ってしまった。

じきに目が慣れていくと、昨夜まで海の見える公園だったはずが、海はあるが公園はなく、茶色の建物が建っていた。


「…あれ?」


私は出るとこ間違えたのかと思い穴へと戻るがやはり同じところに出てきた。

寝ぼけてるのかと、頬をつねる。


「…痛い」


痛い=現実だと確認してもう一度洞窟に入ろうとしたら、後ろから声をかけられた。


「お前ぇさん、そこで何やってんだ」


突然かけられた声に驚いて振り向くと、数人の男の人が不審そうにこちらを見ていた。

ツギハギの着物に草履。ボサボサ頭に無精髭。現代の男とは違う雰囲気と格好に戸惑うように唖然となった。

何も喋らない私に男の一人が、


「見ない顔と着物だな。どこの者だ?江戸から来たのか?」

「…今、なんて…」

「江戸の者じゃないのか?」

「…江戸?江戸ってあの江戸?」

「江戸は江戸にきまってら。おめぇ頭でも打ったんか」

ガハハと笑う男に色々と聞いた結果、ここが歴史で習った将軍様が納めていた江戸時代であり、私はいつの間にかタイムスリップしていることが分かった。

頭のなかがパンクしたような音をたて、目の前は黒一色に染まっていった。

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