《MUMEI》

家出したにも関わらず、内心晴れ晴れとしていた。

たどり着いたのは学校帰りによく通る海の見える公園だった。

公園から見える赤い夕陽がみこは好きだった。家出をしたら夕陽が見える所で頑張ろうと決めていたのだ。


「まさか無一文で家出するとは思わなかったな」


外灯の光を頼り今夜の寝床を探すがなかなか見付からない。


すると、不意に名前を呼ばれた気がして周りを見るが誰も居なかった。


「…気のせい…かな?」


私は急に怖くなり、目立ちにくい岩場の陰で休もうと決めた。

丁度良さそうな大きさの岩があった。近くに行くと人一人入れそうな洞窟があるのに気が付いた。

雨、風がしのげるとこれ幸いに洞窟の中を覗いた。

中に何もないことを確認すると、洞窟の中へ入った。

寝転がれるが、海が近いせいか、少し寒かった。

もっと奥で寝ようと体を起こし、更に奥へと入って行くと、暫くして立ち上がれるくらい広いところに出た。

風が来ない隅の方に行き、うずくまるように足を抱えて寝転がった。

洞窟の奥は暖かく、疲れていたせいか、すぐに深い眠りに堕ちていった。

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