《MUMEI》

「でも今はその病気はほとんど治ったの。ずっとずっと苦しんでたのが嘘みたいに。


−−−それは私が決意するだけだった。

私は一番の゛幸せ゛が何なのか考えた。

それはまず、この病気を知っている人がいないこと。

それに、両親とは一緒にいたくない。

−−−それだけ。


この幸せを手に入れる為に私は努力した。

親から離れる為に寮のある学校に行こうと思った。
だから受験勉強なんて全然辛く無かった。

親に何を言われても何も感じないように、私は何も考えないロボットだ、と言い聞かせた。


私は変化があるものが嫌い。
ずっと過ごしやすい春が続けば良い。

私はいつもと同じことを同じ様に繰り返す。
私は自分のサイクルを作る。
それも地球のサイクルに合うように。



そうやってこの高校に来た。


それは私の幸せだった。



……でもその幸せはもう無くなっちゃたんだ」

私は声を出して泣いていた。

「……ううぅ、ぐず…うぅ」

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