《MUMEI》 息絶えるオオカミを体の上に乗せたまま、 ずいぶん長く横になっていた。 ただとにかく寒さと疲労でたまらなかった。 寝そべって風をしのげるのは楽だった。 それにオオカミの体はまだ暖かかった。 眠い。 また睡魔が襲ってきた。 しかし扉を探さなければ。 眠い。 眠くてたまらない。緊張がゆるんだためか。 眠いなら 暖を取れば眠れる。 眠気のなか野蛮な方法に思い当たって、オオカミの体を腹の上から転がり落とした。 そしてさっき切り裂いた腹に手を入れた。 中に入れば… 血まみれになろうがかまわないと 思い切って両手でそこを広げた。 ある程度汚い仕事をしなければならないと思っていたが 意外なことにそこは 目印の星のようにぼんやり白く光っていた。 … オオカミの腹が扉だったのだ。 前へ |次へ |
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