《MUMEI》
手に手
侑の肩に触れた手のひらが温かかった。

薄い肉につつまれた、硬い骨の形がわかった。

頬はさっきからずっと熱っぽくて

なんだか頭がふわふわする。

「いいって、もっと体重かけても」

侑が芹奈の手に手を重ねて

もっとちゃんとのせろと言うふうにグッと引っぱった。


急なことに声も出ない芹奈に

「大丈夫だからっ」

と侑は口調を強くして言うものの


私が大丈夫じゃないって〜っ!


手を握られるなんていきなりレベルが高すぎるんですが!

もう顔が真っ赤になって、心臓の音がうるさくて


直立したまま固まってしまった芹奈を見ると侑は

「あ―――ごめん」

ぱっと手を離して

何かをごまかすみたいに前髪を触った。

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