《MUMEI》 1召使に髪を梳かせ、寝巻きから赤いドレスに着替えた。 広間に向かう途中、召使たちが頭を下げる。 「おはようございます、王女」 「ご気分はいかがですか」 「今日もお美しいです」 いつもは気分が良いのに、今日はあまりよくない。 朝食室(食堂)へ行くと、すでに朝食の準備は出来ていた。 朝食室は、陽がよく入る素敵な空間だ。 席について少したつと、ラピスレーラも来た。 彼女は私の双子の妹で、第二王位継承者だ。 顔は一緒だが、髪の色が違う。 私はお父様譲りの金髪、ラピスレーラはお母様譲りの紺色の髪だ。 「おはよう、ファルミーア」 ラピスレーラが華やかに微笑む。 「おはよう。ラピスレーラ」 「いい朝ね」 「そうかしら」 「そうよ。とてもいい天気。『塔』にはこんな部屋なかったもの...」 「そう」 ラピスレーラは小さい頃、難病にかかり一人塔に幽閉されていた。 だが、2年前、奇跡的に病気を治したラピスレーラは城でこうして暮らしている。 前へ |
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