《MUMEI》
初恋
たとえば昼休みの混雑した、講買部で

廊下にあふれる生徒の中に、気が付けば彼のすがたを探している。

いくつもの肩や背中の向こうに彼を見つけると

一瞬あたりのざわめきが耳から消えて

彼だけがそこにいるように思える。

こっちを見てくれないかと思うのに、いざ目があいそうになると


そらしてしまって、そらしてから後悔して

でもかすかな期待も残っていて、もう一度彼の方を見てしまう。

その時彼もこっちを見ていて目が合うと

それだけで嬉しくて泣きそうになる。

彼が小さく手を振ったりしてくれると

こっちも笑って振りかえすけど、本当は心が詰まって苦しい。


彼を好きになって初めて知る気持ちばかりだ。

これが、私の初恋なんだ………。

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