《MUMEI》 私の親は中学の頃に他界している。 それはちょうど次の旅行の約束をした時だった。 だから、私は『未来の約束』をしなくなった。 例え友達と別れるときの『また明日!』ということさえ言わない。 親が居ないから同世代のいとこの家に住ませて貰っている。 叔父さんも叔母さんもとても優しくて、従兄弟の翔(かける)も優しい。 でも、だからこそ怖くなる。 もし居なくなったら? もし突然嫌われたら? もし裏切られたら? そんな思いばかりが頭の中を回って、人が心の中に踏み込んでくることを無意識に拒絶している。 それでも翔には他の人より心を許していた。 そして、高校に入学した時、初めて恋をした。 一目ぼれだった。 前へ |
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