《MUMEI》

私の親は中学の頃に他界している。

それはちょうど次の旅行の約束をした時だった。

だから、私は『未来の約束』をしなくなった。

例え友達と別れるときの『また明日!』ということさえ言わない。

親が居ないから同世代のいとこの家に住ませて貰っている。

叔父さんも叔母さんもとても優しくて、従兄弟の翔(かける)も優しい。

でも、だからこそ怖くなる。

もし居なくなったら?

もし突然嫌われたら?

もし裏切られたら?

そんな思いばかりが頭の中を回って、人が心の中に踏み込んでくることを無意識に拒絶している。

それでも翔には他の人より心を許していた。

そして、高校に入学した時、初めて恋をした。

一目ぼれだった。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫