《MUMEI》
『謎解きのお時間ですか?』
『それ』は蒔田さんの家から直ぐの場所だった。
流石といえば流石だけど、中々の悪趣味。
僕なら死んでもここに入りたくない。
…死んだら入る場合だから言い方が違うかな。
まぁいいけど。
「こんにちは、初めまして。」
千里は無表情で挨拶をした。
誰かの血で赤黒く染まった…鉄の処女《アイアンメイデン》に。
蒔田さんの家の窓から見える神社。
そこに、これはあった。
神社にこれがあるのはかなり異様だけれど。
と言うかどうして外側に血液があるんだ。
まぁそれは割と簡単な理由だと思われる。
ここに入れられる前に殺された。
これの一点だろう。
さて、これは開くのか。
ギ…ギィィィィィ
…開いた。
「そっか…貴女が…」
何故名前を聞かなかったのだろう。
聞いておけば良かった。
彼女は…腐りもせずそこに佇んでいた。
身体中を針で貫かれても、その姿は綺麗だった。
千里は彼女に手を合わせ、鉄の処女を調べ始めた。
僕はただ呆然としながら呟いた。
「残念だったね、願いを叶えられなくて。………残念だったね、」

×××××××××―――

「…この人の名前。」

「三津、凜夏さんだ。」

三津…ね。
確か村長の名字が三津だった。
つまり…そういうこと。

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