《MUMEI》

「ハァ、ハァ……………は、ァ」

「ハァ…………あの、ハァ」









もう大丈夫かなぁ、でももう少しあの場所から離れてたほうが……






「あ、あの……………アッ!」










女の子は限界だったらしくとうとうつまづき転んでしまった。そしてようやく気付いた彼女は驚いて振り向く、










「わ!あぁ!ゴメン走りすぎたよね!?」

「だ、いじょうぶです」









そう言って泥がついた顔を手でパンパンとはたく女の子にアワアワと焦る。













「それより、先ほどはありがとうございました。私、井村 花(イムラ ハナ)と申します。えっと…貴女は…?」

「え?あぁ、あたし?あたしは上木 星夜(カミキ セイヤ)です」

「せ、いや?あの、女の方、ですよね?」

「ま、一様…星の夜と書いて星夜って言うんです。男っぽいよね」

「星の夜、とっても綺麗な名前です!私なんかありきたりで…羨ましいです」

「え?いやいや!照れますな!」









ハハハ!と照れながら笑う彼女こと星夜、












「にしてもどうしてあんな目に?やっぱし江戸にもあんな輩がいるんだね」

「…………江戸?」

「え?江戸じゃ…………ないの?家康公とか、」

「???」








え………?アレ?あたしてっきり江戸にでもタイムスリップしたんだと思ってたのに……どゆこと?

あ!あれか江戸時代より前ってことか!








「織田信長知ってる!?」

「…………………誰ですか?ソレ」

「…………………………」











え、ええええええええ!?

ちょ、ちょ待てよォ


織田さんも知らないの?戦国時代でもないのかここは!

てことは源頼朝?違う違う!そりゃ飛びすぎだ!



えーっとえーっと、あぁダメ!あたしバカだった!












「こ、この時代は何時代ですか?ってか今何年?」

「桜花時代ですが?百年に一度変わるじゃないですか、年は14年ですよ?」

「……………………ん?」

「だから桜花時代14年目です」








なんじゃそりゃ聞いたことないぜ?
オウカジダイ??あたしが歴史バカなだけ?


違うよね??うん、違う。













「それにしても、どうしたんですか?その格好、寒くないですか?」

「え、普通に寒いよ?泣きたいもん」

「そんなにですか!?確かに秋ももうじき終わる頃ですし…」







マジかよ









「とりあえず私の屋敷に行きましょう!着物はその時貸します」

「え?あ、ちょっと!」











わけもわからないまま今度は自分が引っ張られる側にまわった………











 

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