《MUMEI》
恋愛は苦手
「奥手のりった可愛いよね〜」「うん…」
今、女子たちで人気なのは奥手のりったこと須藤君ならしい。あまり面識はないが、姿はみたことがある
佐久間くんみたいな漆黒の長髪に、スタイルの良い長身が特徴だ。
確かに美少年だとは思った事はあるけれど、
ああいう子は扱いにくくて苦手。奥手タイプはあまり好みではないのだ
「次、生物だよ行こ!」
「うん…」
友達と走って生物室に向かうが、その最中
「ひゃ」
どんと、背の高い物体にぶつかる、何かの柱だと思いきや。
「ご、めん…」
須藤君だった
「あっうん…」
慌てて散らばった教科書を拾ったすると、そこに白く細い手が伸び
「はい…」
科学の教科書を渡された
「あっありがとう…」
「うん…」
そのまま須藤君の姿が見えなくなるくらい走った
「かっこいいな、須藤君…」
でも苦手意識がある。
見た目かは、佐久間君と似ているけど、謎めいて派手にもてそうにも見えないし、遊んでそうにも見えないし極端に言うと根暗にも見えない。
「もしかして須藤君に惚れた系…」
「え…そんなわけないよだいたい須藤君みたいな人は苦手意識があるから関わりたくないんだよね」
「えーもったいなー須藤君ってチャラくもないし、暗くもないし、陰気にも見えないけど」
「うんでも…」
私はどっちにしろ、好きな人がいるから須藤君はアウトオブ眼中だったりする

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