《MUMEI》
うそみたいに
大翔は自分の机にもたれて

近くの席の男子たちと話しをしていた。

「いーよ、お似合いよ〜?キミたちぃ」

「気ィはえーよ、返事はまだなんだからさ」

否定しながら、大翔は照れたみたいに笑っている。


さっきの深刻な様子はうそみたいに

まるで告白された芹奈の反応も

まんざらではなかったみたいに。

「なんだよっ、返事なんてもうわかってんじゃーん」

大翔と話していた男子生徒が

大翔の肩ごしにひょっと顔を出して芹奈を見た。


「なぁ、可採!なんなら今返事してやれよ」

そんな、こと――芹奈が動けずにいると

周りの男子もひやかすみたいに言いだした。

「別にふるわけじゃないんだし、みんなで祝福すんぜ〜?」

「そーだよそーだよ」

「じらしちゃイヤンっ」

なにこれ。どうしよう。どうすればいいの?

心臓の音がどんどん速くなって

頭がなんだか破裂しそうで

芹奈は逃げるように教室をとび出した。

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