《MUMEI》

 




「……………………………」

「…………………あの、」

「ん?」

「今日あたしが泊まるとこって……ココ?」

「そうだね。」

「いや、どうみても牢屋ですよね?」

「そうだね。」

「……………………………」








いや、何言ってんだコイツ

牢屋だよ?しかも地下だよ?



電気ないから真っ暗だしなんか湿気パネェし怖いし床冷たいしもう嫌だし


こんなとこ1日でも無理だわァ!







そんなあたしのことなどお構い無しにこの男はさっさと入れと牢屋の鍵を開け笑顔で促す。












「なにしてんの?早く」

「む、むむむ無理だわァ!!一人でココ!?泣くぞ!!」

「泣こうが喚こうが俺の知ったこっちゃないからさっさと入りなよ」

「嫌だ!一人にしないでお願い!」








ガシリと着物の袖を掴んで半泣き状態のまま懇願する












「何、可愛い子ぶってるつもり?可愛くないよ全然」

「ぶってねぇよ!マジだよマジなんだよ此方はァ!」

「マジ?よくわかんない言葉使うね君」








ハァ、とわかりやすく肩を竦める男


それでもあたしは袖を離さず掴んだまま。












「俺の知り合いにね、少し霊感の強い子がいたんだけどさ、ある夏の日その子が仲間と一緒に肝試しって名目で今はもう使われてない古い屋敷に入ったんだって、それでねそこの地下にはこんな風に牢屋の敷き詰められた部屋がびっしりあったんだって。でね、最初のほうはガヤガヤ楽しく騒いでたんだって。でもね帰る途中その霊感の強い子がさ………「やめてぇぇぇぇ!何で今言った?何で今の状況で怪談言った!??」

「いや、面白いから」










サラリと言う男、

ドSだ!!!!!!








嫌い!コイツ心底嫌い!



涙目になりながら睨み上げる星夜にニヤッと笑う久我。とても楽しそうに口元を吊り上げる













「で、話の続きなんだけど、その霊感の強い子がひとつの牢屋の中をパッと見たとき……「あああ――――――」

「恐怖のあまりわぁ!って声を上げてね「あああ――――――――」

「無我夢中で走っ………「あああ――――――」










聞こえないように言葉を遮るが男はそれでも続けようと口を動かす。









「その日は何事もなく済んだんだけど、その翌日から……「もうわかりました!泊まりますから!だからもうやめてぇぇぇぇ」

「わかれば良いんだよ」










またも牢屋の中に入るように促されたあたしは渋々泣きながら入る。するとガチャンと丁寧に鍵をかけやがり「じゃあ明日ね」と素っ気ない態度のまま立ち去った…。


あたしはすぐさま古びたベッドに潜り込む





………………なんか、埃っぽい。










 

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