《MUMEI》

 







手首に縄、目の前に金髪般若、

これ拷問ですか?












「昨日も言ったが名前と住んでいる場所を言え」

「………えーっと、名前は上木星夜で、住所は――…ない、です」

「はぁ?」










只今取り調べの最中、狭い和室だから尚更恐怖がこもる

般若……遊佐さん?は眉間に皺をたぐりよせあたしを睨み付ける。









「ない、だと?おちょくってんのか?」

「家ないんです」

「孤児だってゆうのか?」

「あ、そうですハイ」








そうゆうことにしとこう、

大体は合っているんだし……




そう考えていると、バン!とものすごい音で畳を叩きあげる遊佐。












「デタラメ言ってんじゃねぇッ!なんも汚れの見当たらねぇ身体しといてぬかすな!!」









こ、怖ぇぇぇぇ!!!

マジもう嫌だ帰りたい
あ、帰る場所無いんだった








ブチ切れる遊佐の隣で壁にもたれながら立っていた久我がニヤリと笑いながら




「身体見てる感じの言い方がなんかいやらしいですねぇ」

「てめえは黙ってろ!」

「ハイハーイ」








またもキレる遊佐に軽いノリの久我、











「本当のこと口に出来ねぇなら斬るぞ」

「い、いやいやいやホントに!家無いんですってば!信じて!!」

「信じて?てめえを?ハッ、笑える冗談だ」










スラリと鞘から刀を抜き刀身をあたしに向ける













「あらら、殺すんですか」








尚も軽い感じの久我、星夜の身体から嫌な汗が伝う…

遊佐は射ぬくように星夜を見下ろす。














「もう一度だけ言う、答えろ」

「ホントに、本当なんです!あたしに帰る場所なんて……無いんです!!」











その瞬間刀が一気に降りおろされる


久我はそれでも平然とした面持ちでその光景を見やる。星夜はもうダメかと目を瞑りながら





「本当なんだっつってんだろ――――――!」と叫び上げた。
















「………………………………………」
「…………………………………え?」








降り下ろされた刀、しかし一向に自分は死なない



どうゆうことだろうか?











「本当みたいですね遊佐さん」

「………………………あぁ、」

「……………………??」









ゆっくり目を開け見上げれば静かに刀を鞘に終う遊佐の姿、

星夜の脳内はついていかない。






え?どゆこと?











 

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