《MUMEI》

 






不安な表情を浮かべる星夜に久我は遊佐に「どうするんです?」とだけ聞いた。






「あ?」

「この子これからどうするって話ですよ。不審人物では無くなったけど、お金持って無さそうだし行く宛もないんですよ?」

「それァ………………しらん」








ぇぇぇぇ!?

酷くね?











「薄情だなぁ、ならこのままここから追い出す気ですか?」

「そりゃコイツが確実に信用できたらの話だ。それまではここで見張る」

「え!?まだ信用してくれないんですか!?」

「あたりめーだ。そう易々と認めるほど俺は甘くね………「ゆぅさァァァァァァ」









ドガシャ―――――――ンンン






「「「!!?」」」











唐突な来訪者に木っ端微塵になった壁や襖やその他諸々、いきなりのことに驚くことしか出来ない星夜。もたれかかっていた久我は最初は驚いていたが誰が来たのか把握したらしくため息をはく。






ガキィィ………ン!










現れたのは赤茶色の長い髪をポニーテールで結ってある女性。そして躊躇せず斬りつけたのはなんと遊佐。

遊佐も刀を鞘から抜きそれを防ぐ













「て、めぇは、また性懲りもなく………これで何度目だ!部屋壊すのは!」

「邪魔だったんだよ!それだけ!」

「うわ〜相変わらず理不尽」







ドン引きな目を彼女に向ける久我、


しかしそんなことはお構い無しな彼女は楽しそうにしながら













「なぁなぁ!斬り合いしよう!どっちかの腕飛ぶまで♪」











怖ッッッ!!


その発言に星夜までもがドン引く。















「ふざけんじゃねぇ!毎日毎日俺の首狙いやがって!何が目的だァ」

「いや、目的なんかナイナイ。ただあたしはチャンバラしたいんだよ遊佐はホラ、単細胞だからすぐムキになって相手してくれるしッ」

「誰が単細胞だぁぁぁ」






とうとうキレた遊佐は部屋を飛び出し庭先で赤茶色の髪を靡かせる女性と斬り合いにもっていった……








ギァン!

ギィン!







火花が散るほど刀と刀が交わる

だが彼女はいかにもはしゃぐ子供のように般若面した遊佐と真剣で斬り合っていた。







――――――――なんなんだ……








顔に出ていたらしい、久我さんがあたしを見ながら














「彼女もね、俺と同様紅組一派。女だけど血の気が盛んでしかも強いんだよ〜俺ほどじゃないけど」

「最後の台詞はいりませんでしたね」

「あ、そう。」

「てかあたしどうすればいんだろ。話途中だったし…」

「ま、しばらくは様子見だからここにいろってことでしょ」

「はぁ、」











会話はそこで途切れ、二人は自然と庭先の方に目線がいく。











((……たしかに単細胞だな……))











 

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