《MUMEI》 期待「ちょっ、芹奈!?」 と翼の声が聞こえた。でも教室にはいられない。 なんで大翔はみんなをとめないの? 私の様子、さっき見たはずなのに。 ―――ああ違う。 私がいけなかったんだ。 きっとずっと期待させていた。 大翔に寂しい思いをさせたくなくてそばにいたこと 誕生日の約束、それ以外にもきっとたくさん。 もっと早く言っていれば もっと早く気づいていれば、こんなふうにはならなかった。 大翔への『好き』は恋じゃない 恋は、私が恋してるのは――― 「あ」 階段にさしかかった時 耳ざわりのいい低い声を聞いて、芹奈は足をとめた。 前へ |次へ |
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