《MUMEI》
感覚
熱いシャワーを浴びて身支度を整える。
――全身にまだ抱かれた感覚が残っていて。
シャツを着てジーンズを履いてもまだ全裸な気がしてならない。
――眼を瞑り、両手で二の腕を擦ってみる。
するとまるで自分の手では無い錯覚を躰が起こし、ぶるぶると全身に甘い痙攣が走った。
指先で唇に触れると、熱い吐息を思い出す。
舌先に指を這わせる、
――吸われ過ぎて痺れたせいか、酷く甘く感じた。
無我夢中にひたすら求められた。
キスマークだけは職業柄気をつけてくれたみたいだけど、痛い程掴まれた形跡があちこちに残り、俺の白い肌が所々、斑になってしまった。
「ただいま」
隆志はコンビニの袋を下げ帰って来た。
隆志は俺より先にシャワーを浴び、買い物に行っていたのだ。
隆志はベッドに座る俺の頬にペットボトルを押し付けた。
「冷たいよ」
隆志の笑顔につられて俺も思わず笑ってしまい、それを受け取った。
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