《MUMEI》
高尾和成の日記
注意
死ネタです

降りしきる雨の中
俺は傘も持たずにあいつの家に行く
チャイムを鳴らすとあいつの母親が出てくる
酷く悲しいかお
「あぁ、緑間くん…今日はご苦労様辛かったでしょ?調度整理してた所なの上がってって」
お言葉に甘えてあいつの家に入ってく
でも、なにか可笑しい
可笑しい
「お母さん、高尾くんは何処ですか?」
「え…和成は…」
「高尾くんは何処ですか?今日は留守でしたか?」
何故そんな悲しいかおをするのだ?
何故何も言わないのか?
分からない
なにかを忘れた…
思い出す前に頭がいたくなる
「あぁ、和成は…今日は居ないわ。あ、あの子の部屋見に行く?」
見に行く?
可笑しな発言だ…
「はい。」
あいつの部屋に着くとお母さんは泣きながら出ていった何故だ
ふと机を見ると一冊のノートがおいてあった
俺は好奇心にかられてノートを手に取る

「高尾和成の日記…?」
一ページ一ページ読んでいった

20xx年
3月26日
今日から日記を始めた
無論真ちゃんには内緒
心配かけたくないし、愚痴は此処で溢すよ
今日から病院通い…なんだか疲れそう
真ちゃんと帰る時間もずれちゃうし
あぁ、なんだか、憂鬱

20xx年
4月6日
ハハハ…忙しくて忘れてたよ!!
日記なんてなんで書き始めたんだろ
多分ね理由は1つ
誰かに見てもらう前提で書いてるから
だってなにも残らないのは寂しいじゃん

何故だ…
何故高尾はこんなもの書いている
分からない
ナニガアッタ?
パラパラとページをめくると段々と深刻になる内容に頭を締め付けられた

20xx年
7月4日
此処まで粘ってきたけどそろそろ限界見たい
医者はもって後3日だって
あぁ、なんで真ちゃんの誕生日なの?
酷い
真ちゃん元気かな?
俺よりかは元気か、

20xx年
7月5日
今日吐血した
一瞬なんだろ、って思った
やっぱり、死ぬって怖いな…
しかも宣告されてるなんてもっと怖いな
真ちゃんに会いたい
また何時ものツンデレ発言が聞きたい
じゃんけん負けてチャリアカー漕いでさ
でも、無理だな
なんで病気なんか

20xx年
7月6日
今日は真ちゃんからメールがきた
おれをしんぱいしてくれてた
すげーうれしかった
でさ、おれ、明日の夜にとどく
メールを作ったんだ
届いたときおれが生きてたら
好きって伝えるんだ
真ちゃんに早く会いたい

20xx年
7月7日
真ちゃんに会いたい
死ぬって怖いよ
この世界から高尾和成が1人居なくなるんでしょ
残ってるのは、抜け殻と高尾和成の記憶だけ
なにも残らないのは寂しい
記憶から居なくなるのも寂しい
真ちゃんも多分忘れるんだろう
悲しいよ
真ちゃん大好きって言いたい
俺の最後のこ と 

ページが終わった
ポタリ
酷く頭が痛い
ついでに目も熱い
嗚咽が止まらない
苦しい
わかった
大事な記憶が蘇った
高尾はいない
此処にいない
世界中探しても
俺の大好きな高尾なんてどこにもいない
「バカ尾…よりによって誕生日の日だと?いっしょう…忘れられない…っのだよ…!!」
俺は《此処にいない》高尾の代わりにノートを抱きしめ
「すっき…でしたっ…はぁ、だいっすきでっ…した!…ぅあ゛」
高尾の最後の言葉を今でも鮮明にオボエテル
二人っきりの病室で
前より少し痩せた手で俺の手をにぎって
最後の最後で泣きじゃくりながら
大好きっていったんだ



Fin

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