《MUMEI》 本当は大翔に気持ちをうち明けられたこと でもそれには応えられないこと 教室に戻ったらもう 大翔と自分が付き合うような空気になっていて どうしたらいいかわからず逃げ出したこと。 全部を説明するとしばらく沈黙が流れて はじめに口を開いたのは翼だった。 「どうしてよ、芹奈。なんで大翔のこと?」 芹奈は目をふせた。 「大翔のことは好きだけど それは――恋愛感情じゃないって気づいたから」 「なにがあってそう気づいたの?」 愛李に訊ねられて、きゅっと口元に力を入れる。 もう、彼の名前を口にしようとするだけで 涙が滲んでくる。 「私……侑くんのこと本気で好きになっちゃったんだ―――」 みんながいせいに目を大きくした。 前へ |次へ |
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