《MUMEI》
僕のマドンナ
僕のクラスにはマドンナがいる

クラスの男子は みんな彼女にくびったけ

席替えの時間は男達の熱き火花が散るとき

くじを引く奴らの顔は テストのときよりも真剣なんだ




ヤバい
ヤバい
緊張どころの話じゃない

マドンナが、僕の横に…

今回の勝者はなんと僕
同時に得たものは、ビップ席と野獣達の怒りの視線

授業中 いくらでもチャンスはあったのに
終始僕は 固まったままだった



溜め息だらけの帰り道

後ろから 僕の名前を呼ぶ声が

「一緒に帰ろう」のその綺麗すぎる声

ずっと聞きたかった声が今 席よりもずっと近いところで響いている


家まで送ってあげた僕のほほに

マドンナは「ありがとう」と優しく微笑んでチュウをして

スキップしながら家に入って行った

何が起きたかわからない僕
しばらく突っ立っていた僕を

マドンナは 二階の窓からニコニコしながら見つめていた


次の日
マドンナに男ができたとクラス中が大騒ぎ

マドンナが自ら話したらしく

野獣共は裏切り者を探しだす

しかし、彼らが見つけることはできないだろう

まさか、僕がその幸福者の裏切者だとは 思いもよらないだろうから


騒ぐ教室で マドンナだけが幸せそうに微笑んでいた

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